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Practical Geometry / Similarity

木や建物の高さを、登らずに測る方法

~影と相似を使って、直接測れない長さを求める~

1. The Question:届かない高さをどう測る?

大きな木の高さを知りたくても、先端までメジャーを伸ばすことはできません。建物や電柱であれば、なおさら難しくなります。

しかし、高さそのものを直接測らなくても、地面にできた影を測れば計算できます。必要なのは、長さの分かっている一本の棒とメジャー、そして中学校で習う三角形の相似です。

2. What We Measure:高さではなく影を測る

高さを測りたい木のそばに、長さの分かっている棒を垂直に立てます。今回は次のように測れたとします。

  • 棒の高さ:1.0m
  • 棒の影:0.8m
  • 木の影:12m

求めたい木の高さを $H$ mとします。木の高さは直接測れませんが、棒の高さと二つの影は地上から測定できます。

3. Similar Triangles:なぜ相似になるのか

太陽から届く光は、木にも棒にもほぼ同じ角度で当たります。すると「棒の高さと影」「木の高さと影」で、二つの直角三角形ができます。

地面との角度はどちらも90度で、太陽光が地面となす角度も同じです。二つの角がそれぞれ等しいため、この三角形は相似になります。

$$\frac{\text{木の高さ}}{\text{木の影}}=\frac{\text{棒の高さ}}{\text{棒の影}}$$ $$\frac{H}{12}=\frac{1.0}{0.8}$$

4. Calculation:木の高さを計算する

$$H=12\times\frac{1.0}{0.8}$$ $$H=15$$

したがって、木の高さは約15mです。木に登ることなく、地面にある影を測るだけで高さを求められました。

5. General Formula:どんな高さにも使える式

測りたい物体の高さを $H$、その影を $S$、棒の高さを $h$、棒の影を $s$ とします。

$$\frac{H}{S}=\frac{h}{s}$$ $$H=S\frac{h}{s}$$
高さを求める式:
物体の高さ = 物体の影 × 棒の高さ ÷ 棒の影

棒の代わりに、自分の身長と自分の影を使うこともできます。

6. Using Your Own Height:自分自身を基準にする

身長1.7mの人の影が1.2m、木の影が8.4mだったとします。

$$H=8.4\times\frac{1.7}{1.2}=11.9$$

木の高さは約11.9mです。特別な道具がなくても測定できます。ただし、頭や髪の影は先端が分かりにくいため、精度を上げるなら真っすぐな棒の方が測りやすくなります。

7. Measurement Tips:正しく測るための条件

  • 棒を地面に対して垂直に立てる
  • 棒と測定対象の影を、できるだけ同時に測る
  • 平らな場所で測定する
  • 影の先端を正しく見つける
  • 影がほかの物体に遮られていないことを確認する

太陽は動くため、時間がたつと影の長さも変わります。また、朝夕の長すぎる影は先端がぼやけやすく、正午付近の短すぎる影は小さな測定誤差の影響を受けやすくなります。

晴れていて影がはっきりし、地面が水平で、影が長すぎず短すぎない時間が測定に適しています。

8. Why It Is Mathematics:測れないものを測れるものへ変える

この方法で直接測っているのは木の高さではなく、棒と二つの影です。そして三角形の相似を使い、測定できる量を、直接届かない高さへ変換しています。

Bluetoothイヤホンの探索でも、端末の位置を直接見る代わりに、接続が切れる境界を測って位置を推定しました。どちらも、直接知ることができない量を、測定できる別の量へ置き換える考え方です。

9. Dr.WataWata's Insight

三角形の相似は、縮尺を変換する装置

教科書の相似は「未知数 $x$ を求める計算」に見えるかもしれません。しかし本当の力は、手元にある小さな三角形と、直接測れない大きな三角形を結び付けられることにあります。

高さ1mの棒が、15mの木を測るための縮尺になります。私たちは木に登らず、空から測ったわけでもありません。

数学は、直接届かない場所へメジャーを伸ばすための、目に見えない測定器なのかもしれません。