Restricted Three-Body Problem
4. 制限三体問題(ラグランジュ点)
支配方程式(回転座標系)
\[ \begin{align} x - \left[ \frac{(1-\mu)(x+\mu)}{r_1^3} + \frac{\mu(x - (1-\mu))}{r_2^3} \right] &= 0 \\ y - \left[ \frac{(1-\mu)y}{r_1^3} + \frac{\mu y}{r_2^3} \right] &= 0 \end{align} \]
Parameter: $\mu = 0.01215$ (Earth-Moon Mass Ratio)
$r_1, r_2$: Distance from primary and secondary bodies
特徴
制限三体問題において、二つの天体に対する遠心力と万有引力が釣り合う平衡点を「ラグランジュ点 (Lagrange Points)」と呼びます。
この方程式は解析的な厳密解(閉じた式)を持たないため、通常は数値解析によって解を求めます。系には全部で5つの平衡点(L1 ~ L5)が存在し、それぞれ宇宙探査における重要な「特等席」として知られています。
有効ポテンシャルと重力の谷
ラグランジュ点の位置関係を直感的に理解するために、回転座標系における「有効ポテンシャル(ロッシュ・ポテンシャル)」を可視化したものが以下の図です。
等高線が交差する峠のような場所がL1, L2, L3に対応し、ポテンシャルの山頂(凹地)がL4, L5に対応します。宇宙船はこの「重力の等高線」を利用して効率的に移動します。
図1:二つの天体と5つのラグランジュ点の位置関係(概念図)
Source: Wikimedia Commons
結果
5つの解(理論値)
質量比 $\mu=0.01215$(地球-月系)とした場合、本方程式は以下の5つの座標 $(x, y)$ を解として持ちます。 L1, L2, L3はオイラーの直線解と呼ばれ、L4, L5はラグランジュの正三角形解と呼ばれます。
| Point | 名称 / 位置 | X座標 (理論値) | Y座標 (理論値) |
|---|---|---|---|
| L1 | 直線解 (天体間) | 0.8369 | 0.0000 |
| L2 | 直線解 (外側) | 1.1557 | 0.0000 |
| L3 | 直線解 (対側) | -1.0051 | 0.0000 |
| L4 | 三角解 (前方60°) | 0.4879 | 0.8660 |
| L5 | 三角解 (後方60°) | 0.4879 | -0.8660 |
シミュレーション結果
制限三体問題をニュートン法で解析した結果を示します。
今回は直接プログラミングするのではなく、式を回路で記述して回路シミュレーターSPICEで解くという逆転的発想に基づいた方法論である「SPICE指向型解析法」を用いて解析を行いました。初期値を変更することで、5個の解を全て求めることができました。
図2:SPICE指向型解析法による制限三体問題の解析結果
解析環境
- SPICE: Mac SPICE3
- PC: MacBook
- OS: macOS Monterey 12.7.6
- CPU: 1.2GHz デュアルコア Intel Core m5
- メモリ: 8GB
この規模の計算では現在のPC環境であれば一瞬で収束するため、詳細な計算時間の計測は割愛いたします。