すべての画像が存在する数式
あなたの名前も、過去の歴史も、未来の風景も。
たった一つの数式の中に、すべてが最初から存在しています。
1. The Formula
2001年、ジェフ・タッパー(Jeff Tupper)によって発表されたこの不等式は、$(x, y)$ 平面上の特定の位置において、自分自身の数式をグラフとして描画する性質を持つことで知られています。
$$ \frac{1}{2} < \left\lfloor \mod\left(\left\lfloor \frac{y}{17} \right\rfloor 2^{-17 \lfloor x \rfloor - \mod(\lfloor y \rfloor, 17)}, 2\right) \right\rfloor $$
式自体はシンプルですが、重要なのは「描画する場所」です。$y$ 軸の非常に高い位置(ある巨大な数 $k$ から $k+17$ の間)を指定すると、そこに意味のある形が浮かび上がります。
2. Generator: 数式の海を探索する
この数式は、$y$ 軸の高さ $k$ を変えることで、高さ17ピクセルのありとあらゆるビットマップ画像を表示することができます。 以下のジェネレーターを使って、あなたの入力した文字が「数式のどの高さ(階層)」にあるのか計算してみましょう。
これが、無限に続く $y$ 軸の中で、あなたの画像が見つかる場所です。
3. 解説:なぜ「高さ」が変わるのか?
通常のグラフでは、関数 $y=f(x)$ の形が決まれば、描かれる線も決まります。しかし、タッパーの式のアプローチは少し異なります。
この数式における「高さ $k$(Y座標)」は、実は「画像データそのもの」を表しています。
コンピュータ上の画像は「0と1の並び(ビット列)」でできています。この長いビット列を、一つの巨大な整数として解釈したものが $k$ です。
- "A" という文字: データ化して数値に直すと、例えば「高さ 500」になる。
- "B" という文字: データの中身が違うので、数値も変わり「高さ 900」になる。
つまり、私たちがやっているのは「新しい絵を描く」ことではなく、「その絵に対応する番号(住所)を探す」ことなのです。 入力した文字が変われば、当然それを表す数字も変わるため、グラフ上の表示位置(高さ)も全く別の場所に移動することになります。
4. Dr.WataWata's Insight
「創造とは発見である」
ミケランジェロは「彫像は石の中に最初から埋まっていて、私は余分な部分を取り除くだけだ」と言いました。 この数式は、それを数学的に体現しています。
あなたが今タイプした文章も、今日撮った写真も、まだ誰も思いついていない発明の設計図も。 適切な高さ $k$ さえ見つければ、この数式の中に既に存在しています。 私たちは何か新しいものを作っているのではなく、無限の数直線上から、それを「見つけ出して」いるだけなのかもしれません。