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Van der Pol Oscillator

3. ファン・デル・ポール振動子

\[ \frac{d^2x}{dt^2} - \mu (1 - x^2) \frac{dx}{dt} + x = 0 \]

Parameter: $\mu$ (Damping coefficient)

特徴

オランダの物理学者バルタザール・ファン・デル・ポールが、真空管回路(三極管発振回路)の挙動を記述するために提案した非線形微分方程式です。

この方程式の最大の特徴は、エネルギーの発散と減衰がバランスする特定の軌道、すなわち「リミットサイクル(極限閉軌道)」を持つことです。初期値がどこにあっても、最終的には必ずこの閉じた軌道に吸い寄せられ、安定した持続振動を続けます。

パラメータ $\mu$ が大きい場合、波形は正弦波から逸脱し、急激な充放電を繰り返す「弛緩振動 (Relaxation Oscillation)」と呼ばれる波形になります。

解の挙動(位相平面プロット)

横軸に変位 $x$、縦軸に速度 $\dot{x}$ をとった位相平面上の軌跡を描画します。
スライダーでパラメータ $\mu$ を変更すると、円形(単振動)から歪んだ形(弛緩振動)へとリミットサイクルの形状が変化する様子を確認できます。

図1:位相空間上の軌跡。外側からスタートしても内側からスタートしても、太線の軌道(リミットサイクル)に収束します。

結果

ファン・デル・ポール振動子を台形法で解析した結果を示します。

今回は直接プログラミングするのではなく、式を回路で記述して回路シミュレーターSPICEで解くという逆転的発想に基づいた方法論である「SPICE指向型解析法」を用いて解析を行いました。

SPICE Analysis Result

図2:SPICE指向型解析法によるファン・デル・ポール振動子の波形(時間領域)

解析環境

  • SPICE: Mac SPICE3
  • PC: MacBook
  • OS: macOS Monterey 12.7.6
  • CPU: 1.2GHz デュアルコア Intel Core m5
  • メモリ: 8GB

この規模の計算では現在のPC環境であれば一瞬で収束するため、詳細な計算時間の計測は割愛いたします。